【道化師・ピエロの歴史】宮廷道化師からサーカスのスターへ

こんにちは!幻想イラストレーターの小林 けいこです。

サーカスや遊園地などで風船やパントマイム、ジャグリングなど陽気に楽しませてくれるキャラクター「ピエロ」。
そんな愉快な存在ですが、始まりは大衆を喜ばせる存在ではありませんでした。

今回は、道化師・ピエロの歴史について深掘りしていきます。

ピエロとは?

ピエロというと日本では”道化師”をいうイメージが強いのではないでしょうか?
ピエロはフランス語で、英語ではクラウン(Clown)といい、おどけ者や愚か者を指す言葉です。道化師の総称がクラウンであり、ピエロは道化師の役名の一つになります。

王族や貴族の楽しませ役

道化師の歴史は、古代エジプトまで遡ることができます。西洋においては、古代ギリシャや古代ローマで裕福な家の晩餐に物まねや軽口、大道芸などで座を楽しませる道化がいました。
ローマ帝国の裕福な家では、魔除けとして、小人病や知的障害者、奇形の者などを奴隷としてそばに置く習慣があり「愚者(フール)」としてペット感覚で所有をしていました。

中世のヨーロッパなどでは、王族や貴族に従える「宮廷道化師」(ジェスター)という冗談やジョークを言う芸風のエンターテイナーで主人や周りの人たちを楽しませる存在でした。小人病や知恵遅れ、奇形などの人たちでした。

彼らは犬などのペットと同等に見られ、無礼なことでも何しても許されました。また唯一王に物を申せたのも彼らの特権でした。あのトランプのジョーカーも宮廷道化師として多く描かれます。

王政の終わりとたもに、王宮道化師という職業も無くなっていきました。
私たちが知ってる道化師(クラウン)が出来上がったのは19世紀のイギリスでサーカスが発展と共にと言われています。

大衆のエンターテイナーに

その基礎になったのが16世紀のイタリア発祥の即興演劇「Commedia dell’arte(コメディアデッラルテ)」だと言われています。旅芸人の元祖であり、街から街へと移動し街の広場で即興で喜劇を演じていました。

Commedia dell’arte(コメディアデッラルテ)には決められた役割のキャラクターがおり、それぞれに特徴的な個性があり、仮面を被ったり決められた衣装を身につけ表現しました。クラウンの原形になったものは意地悪な使用人Arlecchino(アレッキーノ)と言われています。ツギハギのカラフルな衣装に三角帽子に猿のような仮面を被り、独白が上手くマイムをしひょうきんでいたずらや無鉄砲な動作を行うキャラクターです。

Commedia dell’arte(コメディアデッラルテ)がフランスへと渡り、この「アレッキーノ」という名前が「アルルカン」と呼ばれるようになりました。アレッキーノは花形の役で、フランスでも人気な役でした。

次第に、劇の中での地位が不動となっていき力を付けいったため、もっと立場の弱い召使役が必要になり生まれたのがピエロです。ピエロは田舎者で愚か者で、人々に嘲笑われ不恰好な役でした。

道化師(クラウン)のメイクと衣装

最後に道化師(クラウン)のメイクと衣装についてご紹介します。
近年では道化師(クラウン)も多様化によりメイクや衣装も自由なスタイルになっているそうですが、古典的なスタイルがあるのでこちらをご紹介します。道化師のメイクには大きく分けて3種類あります。

オーギュスト(Auguest)

オーギュストは、自由な性格でボケとツッコミで言うとボケ役の道化師です。
肌色かピンクのベースに、目や口周りだけで白いメイクスタイルです。また、ボールのような大きな鼻を付けています。
衣装は派手な服装が多く、体のサイズに合っていない大きな服や白黒の服だったりと目立つ格好をしています。また、大きなネクタイやすごく小さい帽子をかぶっていたりチグハグな装いをしています。

ホワイトフェイス

ホワイトフェイスの道化師は、場を仕切ったり間違いを正すリーダー的存在です。ボケとツッコミで言うとツッコミ役です。
メイクは、白塗りをベースに目や口に赤色や黒色を付け、鼻も付けます。衣装は伝統的なワンピースを着用し、髪を隠すようにウィッグを付けます。

キャラクター(トランプ)

キャラクタークラウンは、放浪者や警官、消防士など実際の人物をモデルにしたキャラクターです。のんびりで天然、騙されやすく水をかけられたり逆の矛先になる役です。
メイクはオーギュストと似ているところがあり、口髭やそばかす、大きな鼻と耳や妙なヘアスタイルなどそのキャラクターを象徴する部分を強調します。ダボっとした古い服装で悲しげな雰囲気を持っています。チャップリンもこのスタイルになります。


道化師・ピエロの歴史についてご紹介しましたが、いかがでしたか?
時々、ファンタジー作品の中でも王族や貴族のそばに陽気なキャラクターがいるな〜。と思っていましたが、このような歴史があったからなんですね。この記事をきっかけに私自信も、一つまた作品の理解が深まりそうです。

今回、サムネイルに描かれているキャラクター制作をきっかけにピエロの歴史について、ご紹介させていただきました。
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