【世界のサンタクロース図鑑】サンタたちの物語と特徴

こんにちは。幻想イラストレーターの小林けいこです。

クリスマスといえば、赤い服に白いひげのサンタクロースを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか?しかし、世界には赤い服に白いひげのサンタだけでなく、他にも様々なサンタもいることをご存じですか?それぞれの国や地域で形作られた、少しずつ異なるサンタクロースたち。その背景には、その土地ならではの文化が息づいています。

この記事では、そんな世界のサンタクロースを巡る旅にご案内します。ファンタジーが好きな方や、創作活動に役立つインスピレーションを探している方にぜひ読んでいただけたらと思います。

赤い服・白いひげの定番サンタ

私たちがよく知る「赤い服を着て白いひげをたくわえたサンタクロース」の姿。その起源は、4世紀に実在したギリシャ出身のカトリック司教「聖ニコラウス」にあると言われています。聖ニコラウスは、困っている人々を助ける慈悲深い人物として知られ、その行いが後世に伝えられてサンタクロースのモデルとなりました。

煙突から靴下にプレゼントを届ける由来

聖ニコラウスにまつわる有名な逸話があります。ある貧しい一家では、3人の娘を身売りしなければならないほど生活が苦しかったそうです。その話を聞いた聖ニコラウスは娘たちを救うため、真夜中にその家を訪れて煙突から金貨を投げ入れました。その金貨は偶然にも暖炉のそばに吊り下げられていた靴下の中に入り、翌朝それを見つけた娘たちは身売りせずに済んだと言います。このエピソードが「サンタクロースが煙突から家に入り、靴下にプレゼントを入れる」という話の始まりになったのです。

サンタクロースという名前と赤い服の由来

ヨーロッパからアメリカへこの話が伝わる際、「聖(セント)ニコラウス」は英語風に「サンタクロース」と呼ばれるようになりました。また、サンタクロースの赤い服は、聖ニコラウスが着ていたカトリック教会の赤い司祭服に由来しているという説があります。この赤い色には「自分の血が流れても人々のために尽くす」という意味が込められているそうです。

ただし、今私たちがよく見る“ばら色の頬、ぽっこりお腹、白ひげに赤い服”のサンタクロース像は、19世紀後半にアメリカのコカコーラの広告によって定着したと言われています。この広告が、親しみやすいサンタクロースのイメージを世界中に広めました。

世界各国のユニークなサンタクロースたち

良い子にはプレゼント、悪い子にはお仕置きするサンタ

ドイツではサンタクロースは「双子」です。良い子供たちには赤い服を着た聖ニコラウス(赤い服のサンタ)がプレゼントを届けますが、悪い子供たちには黒い服のサンタやってきます。この黒い服を着たサンタは「クネヒト・ループレヒト」といい、石炭を渡したり、時にはお仕置きをしたりする役割を担っています。それだけでなく、背負った袋に悪い子供を入れてどこかへ連れ去る、という恐ろしい話も伝えられています。

クネヒト・ループレヒトとは?

「クネヒト」はドイツ語で「召使い」や「従者」という意味があり、「ループレヒト」は男性名です。その名前の通り、クネヒト・ループレヒトは聖ニコラウスの従者・助手として描かれることが多いですが、その役割には恐ろしい面があるのも特徴です。日本でいう“なまはげ”のように、子供たちをしつける存在として描かれ、ドイツの子供たちから恐れられてきました。

太陽の復活と春の訪れを祝うサンタ

イギリスには緑色の服を着た「ファーザークリスマス」という特別な存在がいます。このファーザークリスマスは、聖ニコラウスとは別人で、その起源は古代ケルト族の文化に由来しています。

ファーザークリスマスの起源は、ケルト族が冬至を祝うお祭りに遡ります。冬至は一年の中で最も夜が長くなる日ですが、そこから日が少しずつ長くなることで太陽の復活が感じられます。この冬至のお祭りでは、緑色の服を着た妖精として描かれるファーザークリスマスが、太陽の復活と春の訪れを祝う役割を担っていたとされています。そのため、彼はただのプレゼント配りではなく、自然の循環や新しい季節への希望を象徴する存在でもあります。

氷の魔法を使うサンタ

ロシアには「ジェド・マロース」と呼ばれる、青いローブをまとった霜の精がいます。ジェド・マロースは、持っている魔法の杖を使って氷を操る力を持つといわれています。ロシアには、悪いことをした子どもがこの杖に触れて凍りついてしまったという昔話も残されています。
ジェド・マロースのもう一つの特徴は、孫娘の「スネグーロチカ(雪娘)」と一緒に行動することです。スネグーロチカは白い服をまとい、雪や氷を連想させる清らかな存在として描かれます。彼女は、ジェド・マロースを手伝いながら、子どもたちにプレゼントを配ったり、ロシアの寒い冬にぴったりの温かい物語を紡ぎ出します。

ちなみに、ジェド・マーロスのジェドは「老爺」、マーロスは「寒波」という意味です。


こうして見てみると、サンタクロースの姿や物語は国ごとに異なり、それぞれの文化や伝統が反映されていることがわかります。定番の赤い服のサンタから、ドイツの双子のサンタ、イギリスの緑のサンタ、そしてロシアの青いサンタまで、それぞれの特徴はとてもユニークで興味深いですね。

世界のサンタたちを知ることで、クリスマスがさらに楽しく、特別なものに感じられるはずです。これからの創作活動やクリスマスの過ごし方に、今回の記事が少しでも役立てば幸いです。

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