こんにちは!幻想イラストレーターの小林けいこです。
午後のひとときを優雅に彩ってくれるアフタヌーンティー。 豪華な三段トレーに並ぶサンドイッチやスコーン、デザートは、私たちの目と舌を楽しませてくれます。この伝統が誕生したのは19世紀、ある貴婦人のちょっとした悩みからでした。
この記事では、アフタヌーンティーの誕生の歴史と装いについて、紐解いていきます。
アフタヌーンティーを始めた夫人
アフタヌーンティーのはじまりは諸説あるようですが、1840年代の初期にイギリスのアンナ・マリア・ラッセル夫人によって始められたと言われています。
アンナ・マリア・ラッセル夫人はイギリスの大貴族ベッドフォード侯爵の夫人で、キリンの「午後の紅茶」のパッケージになってる女性です。
アフタヌーンティーの始まり
当時の貴族の食生活は、イングリッシュ・ブレックファーストと呼ばれる盛りだくさんの朝食をとり、昼食はピクニックなどで少量のパンや干し肉、フルーツなどで軽くすませるというものでした。そして、夕方にオペラや観劇を嗜み、鑑賞が終わった夜8時以降に社交の時間も兼ねた夕飯をとるスタイルが定着していました。
朝食と夕食の間が長いため、空腹を防ぐために午後の3時から5時ごろの間にサンドイッチや焼き菓子を食べ、同時にお茶を飲むことを始めました。
はじめはひとりでの楽しみとしていたようですが、次第に多くの人をもてなす様になり習慣として広まっていきました。当時の社会では、女性の社交活動が制限されていることが多く、アフタヌーンティーは社会的な結びつきや情報交換の場として女性たちの貴重な機会となっていたようです。
20世紀以降、アフタヌーンティーは時間のゆとりと優雅さを象徴する風習として発展していきました。
アフタヌーンティーといえば、三段重ねのティースタンドを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。3段重ねのスタンドは、「アフタヌーンティースタンド」「スリーティアーズ」「スリーティアスタンド」と呼びます。
最初の頃は、ひとつひとつ召使いによって運ばれていましたが、客によって食べるペースが違うため全てを盛り合わせることができるスタンドになったようです。
スタンドは、下から順に並べられ一段目はサンドイッチ、二段目はスコーン、三段目はスイーツとなります。
アフタヌーンティーの装い
アフタヌーンティーが考案された初期の頃には、厳しいマナーはありませんでした。時が経ち、ヴィクトリア時代中期になり階級を越えてアフタヌーンティーが広まると階級どこに暗黙のルールが決められるようになりました。
上流階級のお茶会には、レディの3種の神器〈帽子・手袋・パラソル〉を身につけ馬車に乗って館に向かいました。
帽子や手袋は階級の指標となっていたので、外出時には必ず身につけて室内でも外すことはなかったようです。なので、紅茶やお菓子も手袋のまま食べることもあったようです。
また、アフタヌーンティーの流行に伴い、”ティーガウン”というお茶会専用のドレスが誕生しました。
ウエストを締め付けるコルセットが徐々に排除され、紅茶やお菓子を愉しめるように身体を締め付けないのがティーガウンが大流行しました。屋内で着用することを目的として従来の部屋着を優美にしたもので来客をもてなしました。袖や前開きにレースやラッフルを飾ったものが多く、刺繍等もふんだんに施され、引き裾を引いています。
いかがでしたか?はじめは、一人空腹を満たすことから始まった習慣も次第に多くの人に親しまれるまでに発展したアフタヌーンティーは、午後のひとときを優雅にしてくれます。
アフタヌーンティーの上品さや繊細な美しさは、イラスト制作においても視覚的なインパクトを与えられるテーマです。華やかなティータイムのシーンを取り入れたい、キャラクターの衣装や小物でその雰囲気を演出したいとお考えでしたら、ぜひお気軽にご相談ください。