
グリム童話と聞くと、子どもの頃に読んだ絵本や、アニメのイメージを思い浮かべる人が多いかもしれません。しかし、原作に近いグリム童話を読んでみると、「思っていたより怖い」「残酷すぎる」と感じることがあります。
なぜ、子ども向けとして知られているグリム童話には、これほど恐ろしい話が多いのでしょうか。
この記事では、グリム童話が生まれた背景と、物語に込められた教訓を、代表的な作品とともに紹介していきます。
グリム兄弟は「物語を書いた人」ではない
まず知っておきたいのは、グリム兄弟は物語の作者ではないという点です。
ヤーコプ・グリムとヴィルヘルム・グリムの兄弟は、作家というよりも、ドイツ文化を研究していた学者でした。
彼らが行ったのは、新しく物語を作ることではなく、民間で語り継がれていた昔話を集め、書き残すことです。
当時の昔話は、本に書かれたものではなく、村や家庭で口伝えに語られていました。
グリム兄弟はそれらを記録し、1812年に『子どもと家庭のための昔話集』としてまとめたのです。
つまり、グリム童話は「誰か一人が考えたお話」ではなく、長い時間をかけて作られた集合的な物語だと言えます。
なぜグリム童話はこんなに怖いのか
もともと大人向けの話だった
グリム童話は、最初から子ども向けに作られたものではありません。
大人も一緒に聞く場で語られていたため、現実の厳しさや恐怖がそのまま残っていました。
「危険」を強く伝えるため
昔は今のような安全な社会ではありませんでした。
森は迷えば命を落とす場所であり、知らない人は本当に危険な存在だったのです。
そのため、
・言いつけを守らないとどうなるか
・欲や油断がどんな結果を生むのか
を、怖い結末ではっきり伝える必要がありました。
教訓を忘れさせないための恐怖
やさしい言葉だけでは、教えは忘れられてしまいます。
恐ろしい場面があるからこそ、物語は強く記憶に残り、教訓も心に刻まれました。
グリム童話に込められた教訓
グリム童話の怖い場面は、いつも理由なく起きているわけではありません。登場人物の行動や選択の先に、その結果としての出来事が描かれています。
ここからは、代表的なグリム童話を取り上げながら、物語の中にどんな意味が込められているのかを見ていきます。
赤ずきん

教訓:警戒心を持ち、慎重に行動することの大切さ
森へおばあさんへのお使いに行く途中、狼にだまされて危険な目に遭います。
ヘンゼルとグレーテル
教訓:厳しい状況でも、冷静さと協力で問題を解決することの重要性
兄妹が森に置き去りにされて魔女の家に誘われますが、知恵と協力で逃げ出します。
白雪姫

教訓:悪意に惑わされず、自己肯定感を持ち続けること
美しい王女が嫉妬に苦しめられますが、最後には助けられます。
シンデレラ

教訓:どんなに不公平な状況でも、誠実さと優しさを持ち続けることが大切だ
いじめられていた少女が幸運をつかむ話です。
ラプンツェル
教訓:困難な状況でも愛と勇気を持ち続けることで、自由を手に入れることができる
塔に閉じ込められた娘が冒険を通じて自由をつかみます。
かえるの王さま
教訓:軽はずみな約束をしてはいけない
お姫さまがかえると約束を交わし、後にその約束を果たします。
オオカミと七匹の子やぎ
教訓:他人を信じる際は慎重に行動すべきだ
子やぎたちが狼の策略に苦しみますが、最後は救われます。
七羽のカラス

教訓:愛する人のために自分を犠牲にすること
兄たちが呪いでカラスに変えられてしまい、妹が救いに行きます。
ブレーメンの音楽隊

教訓:困難な状況でも仲間と協力することの大切さ
年を取った動物たちが力を合わせて困難を解決します。
青ひげ
教訓:疑うべき時には注意深くなること、無条件の信頼は危険
恐ろしい秘密を持つ男と結婚した女性の話です。
おわりに
グリム童話が怖いのは、残酷さを楽しませるためではありません。
それは、生きるうえで大切なことを、確実に伝えるための表現でした。
背景を知って読むと、グリム童話は
・昔の人々の価値観
・社会の不安
・子どもを守ろうとする大人の思い
が詰まった、非常に奥深い物語だとわかります。
私自身も、調べるたびに新しい発見がありました。
もし気になる作品があれば、ぜひ原作に近い形でも読んでみてください。
きっと、子どもの頃とは違うグリム童話の姿が見えてくるはずです。


