こんにちは!幻想イラストレーターの小林 けいこです。
今回は、間もなく迎えるハロウィンにちなんで、黒猫について紐解いていきたいと思います。黒猫と聞くと「不吉」というイメージを持つかもしれませんが、はじめからそのようなイメージだったのでしょうか?また、不吉以外のイメージはないのでしょうか?
今日は、そんな黒猫の歴史をご紹介いたします。
神の化身
猫は元々、野生動物で鳥・ネズミ・ヘビなどを捕っていた動物でした。
古代エジプト人は、猫が農作物を食い荒らすネズミを退治し、ヘビも殺すことから家の周りを安全にしてくれる存在から猫をペットとして飼うようになりました。
ネズミを退治し、家の安全を守ってくれる役立つという動物はもちろんですが、いかなる色でも猫は神聖な動物でした。
闇夜に光る猫の目は太陽神ラーを思わせ、神の化身とみなされ、多産と母性のシンボルである守護女神バステトとして像が作られました。そのため、猫を殺すと死刑に処されるほど丁重に扱われ、猫が死ぬとその亡骸は風化を防ぐためにミイラにされました。
古代ローマがエジプトを征服し、猫はローマ帝国全土に輸出され、5世紀の終わりにはヨーロッパ全土に棲むようになりました。
エジプト神話に登場する女神。初めは猫ではなく、雌ライオンの頭部を持った姿で崇拝されていたが、紀元前1000年ごろに猫の姿または猫の頭部をもつ人間の姿とされるようになりました。
悪魔の化身?下僕?
ヨーロッパにおいて黒猫が恐怖の対象とみられたのは13世紀からです。
猫の他にもヒキガエル・ネズミ・ヘビといった動物たちも悪魔の化身として扱われました。
「黒猫は闇でも目が見える。オオカミ・キツネ・フクロウ・コウモリなどの地獄の生き物の特性である。」とされ、また黒色は喪・死・暗闇をイメージさせることから魔王サタンの化身として信じられていました。
魔女狩り
13世紀にヨーロッパ全土で魔女狩りが始まりました。
当時、人々は宗教戦争・飢餓・疫病・食糧難などヨーロッパの庶民を苦しめていた不幸の責任を何かに求めていました。その怒りの矛先が「魔女」だったのです。
女性は「悪魔の誘惑により負けやすい、弱い生き物」であり格好の犠牲者でした。そして、魔女は黒猫が身近にいる孤独な非社会的な存在として認識されており、飼い猫を共に火あぶりにされました。
実際、魔女たちは下級階層の独り暮らしの女性が大半で多くは産婆や祈祷師(呪医)でした。
1347〜1352年にヨーロッパ中に蔓延したペスト(黒死病)はネズミのノミが原因とされており、猫の大虐殺がなかったらペストの抑制に貢献していただろうと言われています。
得意のネズミ狩りで名誉挽回
魔女狩りは全ヨーロッパで約4世紀続きましたが、17世紀になると住民の一部が疫病で大量死したことから、黒であろうとなかろうと少しずつ名誉挽回していきました。
得意であるネズミ狩りが注目されたのです。
19世紀になるとロマン主義のおかげで、神秘的で自由気ままな猫が作家や詩人、画家や歌手などの芸術家のインスピレーションの源となり、美しさと優雅さも好まれるようになりました。
幸福のマスコット
長い間、迫害されてきた黒猫ですが、次第に幸福のマスコットとして愛されるようになりました。その一部をご紹介いたします。
- イギリス:美徳とパワーが備わっていると信じられている。イギリス北部では、黒猫を見たら幸運が舞い込むと言われている。
- アメリカ:家で黒猫を飼うと、家族に幸運が訪れ火災からも守ってくれると言われている。
- 中国:悪霊から守るとされている。
- カンボジア:乾期の後、黒猫が現れると雨の前触れだと言われている
黒猫の壮絶な歴史を紹介しましたが、いかがだったでしょうか?
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