こんにちは!幻想イラストレーターの小林 けいこです。
皆さんは「王様の耳はロバの耳」という物語を読んだことがありますか?
幼い頃に絵本などで読んだ記憶がある方が多いのではないでしょうか。
今回は、「王様の耳はロバの耳」の主人公である王様について紹介します。 彼は、触れるものをすべて黄金に変えてしまう『黄金の手』という別の物語でも有名です。 今回は、この二つの物語が描く王様についてさっそくみていきましょう!
2つ物語を持つ王様 ミダス王
「王様の耳はロバの耳」や「黄金の手」で知られる主人公、それがミダス王です。
絵本によっては、「王様の耳はロバの耳」の物語の中で“ミダス王”の名前が出てくることがあります。
ミダス王はギリシャ神話に登場し、フリギアの都市ペシヌスを治めた王として描かれています。フリギアは実在した地域で、現在のトルコに位置します。
ミダスは、幼少期に初代フリギア王ゴルディアスと女神キュベレーの養子となり、王位を継いだ人物です。彼にはリテュエルセースという息子がいたとされますが、神話によっては娘がいたとも言われています。
黄金の手を持つ王
黄金の手は、「ミダス・ゴールデン・タッチ」または「タッチ・タッチ」と呼ばれ、触れたものをすべて黄金に変える能力のことです。 ギリシャ神話では、ミダス王がこの力を持つ人物として描かれています。
ディズニー作品にも「黄金の王様」という、約10分のアニメーションがありますが、神話とは異なる点も多く見られます。
ミダス・タッチのあらすじ
ある日、豊穣の神であり、ブドウ酒と酩酊の神でもあるディオニューソスは、年老いた教師で養父でもあるシーレーノスが行方不明になったことに気づきました。シーレーノスはワインを飲んで酔っ払ってぶらついていたところを農民に発見されミダス王の元に運ばれました。(またはミダス王のバラ園で酔い潰れていました。)
ミダスは彼を10日昼夜手厚くもてなし、11日目にディオニューソスへ返しました。
ディオニューソスはミダスに望むものを与えると言い、そこでミダスは「触れるもの全てを黄金に変える力」を望みました。
新たに得た力に喜んでだミダスは、最初こそ誇らしげでしたが、食べ物や飲み物までが黄金に変わることに気づき、その力が破滅をもたらすことを悟ります。飢餓からの解放されたいとディオニューソスに祈り、ミダスにパクトーロス川で水浴びをするように指示しました。ミダス王はその通りにすると、力は川に移り、川砂は砂金となりました。こうして、ミダスは元の姿に戻ることができたのです。
王様の耳はロバの耳
ミダス王が「黄金の手」の力から解放された後、彼のもう一つの有名な物語として知られているのが、イソップ物語の「王様の耳はロバの耳」です。
「王様の耳はロバの耳」のあらすじ
ミダス王は、贅沢を嫌って田舎へ向かい住み、田園の神パーンを崇拝していました。
あるとき、パーンは芸術や音楽の神であるアポロンと演奏の腕を競います。パーンは笛、アポロンは竪琴を演奏しました。
山の神トモーロスはアポロンの勝利を宣言しましたが、ミダス王はパーンの演奏が優れていると言いました。これを聞いたアポロンは怒り、「音楽のセンスがないロバの耳だ」として、ミダスの耳をロバに変えてしまいました。
ロバの耳になってしまった王は帽子でそれを隠していましたが、髪が伸び我慢できなくなった王は床屋を呼び、秘密を守るように言います。しかし、だんだんと秘密のことが頭でいっぱいになり、そこで草原に穴を掘って「王様の耳はロバの耳」と叫びました。
やがてどこからか、「王様の耳はロバの耳」という不思議な歌が聞こえてくるようになり噂が流れ始めました。ついには王様の耳まで届き、激怒したミダス王は真実を探り、秘密を漏らした者を罰しようとしますが、床屋が掘った穴の上に生えた葦が歌っていたことを知りました。王は「葦が歌っているなら歩いて」と悟り、耳を隠すことをやめました。その姿勢に感動したアポロンは、再び彼に元の耳を与えてくれました。
2つの物語から見えるミダス王の教訓
ミダス王の二つの物語、「ミダス・タッチ」と「王様の耳はロバの耳」には、それぞれ現代にも通じる重要な教訓が含まれています。富を得ても失うものが多く、人生において何が一番大切か見極める必要があるといった教訓を得られます。また、秘密はいつか露見するものであり、真実を受け入れ、人々に耳を傾ける心の広さが必要だということです。名前だけでなく、他人への配慮や最初の重要性を私たちに教えてくれます。
二つの物語を持つ王様のお話はいかがでしたか?
ファンタジーをテーマとしたイラスト制作を行なっています。ファンタジーをテーマにしたイラスト展での展示経験をいかし、あなたのアイデアにぴったりのイラストをお届けします。