
こんにちは。幻想イラストレーターの小林けいこです。
セーラー服といえば、学生服としておなじみですが、そのルーツをたどると、実は意外な背景が隠されています。元々は船乗りたちのためにデザインされた実用的な制服が、その後どのように軍服として広まり、さらに学生服として定着していったのか。本記事では、セーラー服の歴史をひもときながら、そのデザインが時代や役割とともにどのように変化してきたのかを詳しくご紹介します。
セーラー服の歴史
現在は学生服として定番となっているセーラー服ですが、元々は学生服ではなく海軍兵士の制服がセーラー服の始まりです。
セーラー服のセーラー(sailor)は、船員や水夫を意味。主に船に乗り、航海や船の運航に関わる職業の人々を指すことからも海軍の制服だったことがわかります。
そして始まりは1800年代前半、イギリスによって生み出されたとされています。
当時のイギリス海軍は制服を規定しておらず、一部の艦長が自分だけの制服をオーダーメイドして着用していたと言われています。
同時期にブレザー号の艦長がデザインした制服が海軍の間で話題になり、クルーに同じデザインの制服を着せることが流行。(制服ブレザーの起源)
これを受けたハーレクイン号の艦長も自分がデザインした制服をクルーに着せました。
しかし、そのデザインが道化師(Harlequin)だったことで多方よりひんしゅくを買う結果に・・・。
これを受けて、海軍本部はセーラー服をデザインし、水平の制服に採用しました。
その後、アメリカやフランスを始め世界中の海軍がセーラー服を制服としていきました。
ちなみに日本には、1872年ごろに渡っています。
船乗りのためにデザインされた制服
セーラー服といえば、大きな襟やスカーフが特徴ですが船乗りのためにデザインされてものと言われています。
まず、首元にある大きな首襟は諸説ありますが「甲板上で風などの影響によって音声が聞き取りにくい時に襟を立てて集音効果を得るため」と言われているのが通説のようです。
ほかにも、船の上ではお風呂や洗濯がなかなか出来ないため制服に直接体の脂やフケ、抜け毛がついて汚れるのを防ぐためという説も非常に有名です。
胸の部分にある逆三角形は、万が一船から海に落ちてしまった際に服を破って泳ぎやすくするためと言われています。
そして、スカーフは船乗りにとって手拭いの役目でしたが時代が進むにつれて船上の限られた中でできる唯一のおしゃれとしてこだわりを持つ水平が続出したそうです。

軍服から制服への変化
ここまでで海軍の制服としてセーラー服を語ってきましたが、いつ頃から学生服に変化していったのでしょうか?
学生服として広まっていくきっかけは、イギリス海軍が幼年海軍学校の制服としてセーラー服を採用したことが始まりです。
加えて、当時イギリスで大変人気があったエドワード皇太子が水兵制服を披露したことで、その可愛らしさからセーラー服の人気が爆発したそうです。
そして、19世紀後半にはセーラー服が子供服として普及します。
この時、男の子用は軍服を変わらずズボンでしたが、女の子はスカートになっています。
イギリスのみならずヨーロッパ全域で広まり、第二次世界大戦までにはセーラー服を着ていない女子学生はほぼいないと言われるまでに普及しました。
日本で制服として採用されたのは1920年代です。当時は着物のようなデザインでしたが、濃色ワンピースにスカーフと袴という形に変わりました。
セーラー服の歴史を振り返ると、そのデザインが単なるファッションではなく、時代のニーズや社会の変化に深く根ざしていることがわかります。船乗りのための実用的な制服から軍服、そして学生服へと受け継がれてきたセーラー服は、今もなお多くの人々に愛される象徴的な存在です。この記事を通じて、セーラー服に込められた歴史や文化的背景を知ることで、身近な制服に新たな視点を持っていただけたなら幸いです。