ギリシャ神話と宇宙から見る天の川

こんにちは!幻想イラストレーターの小林 けいこです。

街明かりが少ない場所で夜空を見上げると、空を横切る雲のような光の帯を見ることができます。夏と冬に南北の位置に見える”天の川”です。古代の人々は、天の川を神話に紐づけ、星々にさまざまな物語を重ねてきました。今回は、宇宙・ギリシャ神話・そして現代のイベントという3つの視点から探っていきます。

宇宙からみる天の川

天の川は、太陽のように自ら輝く星の集団です。およそ2000億個の星でできていると言われています。また、この大集団は銀河系と呼ばれ、私たちの太陽系のある「銀河系」を内側からみた姿です。私たちが住む地球も銀河の一部、天の川銀河になります。

天の川が無数の星の集まりであることを発見したのはガリレオ・ガリレイです。1610年に光学望遠鏡も用いて確認しました。

現在では、天の川銀河は中心付近が少しふくらんだ、薄い円盤状の形をしていることがわかっています。円盤の直径は約10万光年です。円盤の厚さは太陽近傍で約3000光年、中心付近は約1万〜1.3万光年と推定されています。

そして太陽系は、円盤の中心から3万円光年ほど離れたところにあります。

真上からみた天の川

”天の川”の由来

天の川(Milky way:ミルキーウェイ)の名前の由来は、ギリシャ神話にあります。

ゼウスは自分と人間の妻(愛人)アルクメーネーのこの子であるヘラクレスを不死身にするために、女神ヘラの母乳をヘラクレスに飲ませようとしました。しかし、嫉妬深いヘラはヘラクレスを憎んでいたために母乳を飲ませようとしませんでした。拒まれてしまったゼウスは策を練り、ヘラに眠り薬を飲ませ、ヘラが眠っている間にヘラクレスに母乳を飲ませようとしました。しかし、ヘラが目覚めてしまい、ヘラクレスが自分の乳を飲んでいることに気づき、払い除けた際にヘラの母乳が流れだしました。これが天のミルクの環になった。

このことから天の川という名前がつきました。

”天の川”に関するイベント

七夕の始まり

七夕の起源は諸説ありますが。①もともと日本の神事であった「棚機(たなばた)」②織姫と彦星の伝説③奈良時代に中国から伝来した「乞巧奠(きこうでん)」の3つの行事が合わさったものと言われています。

棚機(たなばた)

棚機は古い日本の禊ぎ(みそぎ)行事で、乙女が着物を織って棚にそなえ、神様を迎えて秋の豊作を祈ったり人々のけがれをはらうものでした。選ばれた乙女は「棚機女(たなばたつめ)」と呼ばれ、川などの清い水辺にある機屋(はたや)にこもって神様のために心をこめて着物を織ります。その時に使われたのが棚機です。そして、仏教が伝わるとこの行事はお盆を迎える準備として7月7日の夜に行われるようになりました。七夕を「たなばた」を読んでいるのもここから来ていると言われています。

織姫と彦星の伝説

琴座のベガと呼ばれる織女(しょくじょ)星は裁縫の仕事、鷲座のアルタイルと呼ばれる牽牛(けんぎゅう)星は農業の仕事をつかさどる星と考えられていました。

この二つの星は旧暦7月7日の天の川にはさんで最も光り輝いているように見えることから、中国でこの日を一年に一回のめぐりあいの日と考え、七夕のストーリーが生まれました。

乞巧奠(きこうでん)

乞巧奠(きこうでん)という中国の行事で、7月7日に女性達が手芸・裁縫なおの上達を願う風習からはじまりました。庭先の祭壇に針などをそなえて、星に祈りを捧げます。やがて織だけではなく芸事や書道などの上達も願うようになりました。

日本に伝わった七夕の行事

平安時代にその話が日本に伝わると、宮中行事として七夕行事が行われえるようになりました。
宮中の人々は桃や梨、なす、うり、大豆、干し鯛、アワビなどを供えて星をながめ、香をたいて、楽を奏で、詩歌を楽しみました。サトイモの葉にたまった夜つゆを「天の川のしずく」と考えて、それで墨を溶かし梶の葉に和歌を書いて願いごとをしていました。梶は古くから神聖な木とされ、祭具として多くの場面で使われてきました。

江戸時代になり、七夕行事が五節句の一つになると、七夕は庶民の間に広まり全国的に行われるようになりました。
人々は野菜や果物をそなえて、詩歌や習いごとの上達を願いました。梶の葉のかわりに五つの色の短冊に色々な願い事を書いて笹竹につるし、星に祈るお祭りと変わっていきました。

短冊が5色の理由

昔は和歌を書いて、学問や書道の上達を願っていましたが現在は学問に限らず個人の願いごとを書いて吊るします。色は赤・黒(紫)・青・白・黄が一般的です。

短冊が5色なのは中国の五行説に影響しています。五行説は、世の中のすべては火・水・木・金・土のいずれかに当てはまり、それぞれが影響し合っているとする考え方です。

赤ー火、黒ー水、白ー金、黄ー土に対応します。

現在の七夕

現在は織姫と彦星のように願い事を叶いますようにと短冊に色々な願い事に書いて、笹谷竹の葉に飾るようになりました。

笹や竹には、昔から不思議な力があると言われ、神を宿すことができると言われていました。祭りの後に竹や笹を川や海に飾りごと流す風習には竹や笹にけがれを持っていってもらうという意味があります。


いかがでしたか?天の川は、宇宙の広大なさや古代から続く神話のロマンを感じさせてくれる魅力的な存在です。

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